メチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane, MTMS, CH3Si(OCH3)3)は有機ケイ素アルコキシドのひとつで、シリコーン樹脂など有機−無機ハイブリッド材料を作るために使われています。
メチルトリメトキシシランのみを重合した化合物はポリメチルシルセスキオキサン(polymethylsilsesquioxane, PMSQ, CH3SiO1.5)と呼ばれ、粒子状のものは化粧品などの感触改良材として、肌に塗る際にサラッとした仕上がりにするために添加されます。タッチパネルガラスなどのコーティングにも使用されており、有機樹脂に比べて耐熱性や耐紫外線性が高く、変色しない保護層を作製することができます。
写真はPMSQのみからできたエアロゲルです。[1] シリカエアロゲルなどとは異なり高温・高圧などの特殊な乾燥法(超臨界乾燥)を使わずに作製することが可能で、透明でありながら市販の断熱材(20-40 mW m-1 K-1)より優れた低熱伝導率(< 15 mW m-1 K-1)を実現できることから、省エネ素材として研究が進められています。
参考文献
[1] K. Kanamori, M. Aizawa, K. Nakanishi and T. Hanada, "New Transparent Methylsilsesquioxane Aerogels and Xerogels with Improved Mechanical Properties", Adv. Mater., 19, 1589-1593 (2007). doi:10.1002/adma.200602457